2011/05/14

あずみの自然農塾5月・1日目

車窓にのどかな田園風景が続く、大糸線に揺られて、シャロムヒュッテ最寄りの穂高駅へ。
駅で塾のお仲間と待ち合わせ。

この1ヶ月間、待ちに待った再会です。

♪早苗~植え渡す~夏は来ぬ~♪

先月は、春が始まったばかりという安曇野。
たったひと月で、春と初夏がいっせいにやってきた。
大地から湧き出るパワーに溢れた、そんな様子。

「他のみんな、ひつじ屋さん(駅前のカフェ)に居ますよ~」
車でのピックアップをお願いしていたお仲間ご夫婦が、相変わらずのピースフルな笑顔で迎えてくれました。
ついに始まった。やっと始まった。



本日の最初のメニューは夏野菜の説明。
自然農では、作物を夏草・冬草、この二つの種類に分けて考えるとのこと。
霜に強いものを冬草・冬野菜と呼び、霜に全く強く無いものを夏草・夏野菜と呼びます。
冬野菜のうち、春に蒔いたら春野菜、秋に蒔いたら秋野菜、冬を越えたものを冬野菜と呼びます。
さて、霜が嫌いな夏野菜。
霜がこないときに定植します。その目安は、藤が咲いたら、もしくは小麦が出穂したら。その際の平均気温が16℃。
大麦の出穂は平均15℃と、1℃しか変わらないけれど、その1℃がとっても大事。と、我らが師・たけさん。
苗を手に取りひとつひとつ丁寧に説明してくださいます。


夏野菜は、トマト・ピーマン・ナス・ジャガイモなどのナス科か、カボチャ・キュウリ・ズッキーニなどのウリ科が主。
買ってきた種や苗は、耕さない・持ち込まない・持ち出さないが基本の自然農においては育ちにくく、植えるのは自家採種したものがベスト。
ほぼ、たけさん家生まれの苗さんたちです。

トマト大玉や原種のミニトマトなど5種。
ピーマンは緑色のピーマンやパプリカ、鷹の爪など5種。
ナスは2種。
ウリは、カボチャやズッキーニ5種。
トウモロコシ
オクラ
メロン
スイカ
その芳醇な香りと甘い実から、講座殺しの異名を持つ、ストロベリートマト※食用ホオズキ
(今回もご多分に漏れず、シャロム営農部長ぐっさんが去年採れた実を持ってきた瞬間、みんながあまりに芳しい匂いを嗅ぐのに夢中になり、一時学級崩壊しました)

説明が進めば進むほど、沸き上がってくる苦悩。
「選べない…」
たけさんの説明が余りに魅力的で、どれもこれも育ててみたくなっちゃうんですね。
しかも、たけさんの愛情たっぷりの苗は、全部可愛く見えて。

「植えたいな~」
「それ、いいな~」
そこかしこで、同じような苦悩の呟きが漏れていました。


ちなみに…苗選びのポイント。
大きく育ってしまった苗は自然農に向かず、ポットから出したときにうっすら根を巻いている(根鉢)くらいが良いそうです。
大きく育ちすぎてしまった苗は環境への適用に時間が掛かってしまうから。
一方、マルチなどで育てる場合には若い苗は向かず、暴れてしまうそうです。
年を取ると環境の変化が苦手で、子供は甘やかすと暴れん坊になってしまう…人と同じですね、という話。


お次は、田んぼへ移動。
そこに待っていたものは、余りに衝撃的な風景でした。


お花畑じゃないかーい!
繁茂する大麦、スズメノテッポウ、まさに盛りのレンゲ草、集う小さな虫たち。
小宇宙
そんな言葉が頭をよぎりました。
暫し、塾を忘れて写真を撮る我ら。
「撮影大会もいいけど、クワとか運んでね~!」
たけさんの叫び声で我に返る。いかんいかん。

まずは、種籾の成育状況を確認。ドキドキします。


うほー!育ってますよ~!
みんなが歓声を上げる。
種類によって、育ち方が違うんですね。


発芽させた状態でおろしたハッピーヒルさんは、ちょっとお兄さんでした。
みんな、小さくて細い全身に生命力漲らせています。

種籾さんたちのベビーベッド・苗代は、今は陸上(陸苗代)で、今後は水中(水苗代)になり、
そいういう苗代のことを折衷苗代というそうです。
そして、これから水を入れていくときに暖まった水が入ってくるよう、ベビーベッドは水の入り口から遠いところに作ってあります。

そして、畦塗り。
去年の田んぼの畦を崩して練って塗り直して、田んぼから水漏れしないようにする作業。
2日に分けておこないます。

今日は、本格的に塗る前の下準備。
①畦の草を綺麗に刈る
②田んぼの内角に溝を作る
③田んぼに水を入れる(溝にいきわたる程度)
④鍬で畦の土を崩し、溝に落として、土に水を含ませ練って泥状にする。
⑤泥の水を切りながら、畦に盛る。この状態で一晩水を切る。(仕上げの塗りがしやすい固さになります)

たけさんのお手本と解説は淀みなく、なるほどそうかとその時は思うのですが、
いざ、鍬を持って土と対峙すると…
「で?」
頭が真っ白に。手も足も出ないとはこのこと。嗚呼、なんて無力な自分。


みんな、慣れない鍬とぬかるみに翻弄されながら、頑張っていました。
私を含む一部の女性陣は、しまいには、手で畦塗り参戦。

鍬の音、ザクザク。
泥の音、ベチベチ。
シャロム営農部長ぐっさんが木槌でモグラかネズミの穴を叩く音、ドゴーンドゴーン。
※穴から水が漏れるので徹底的に塞ぎます。本気モグラ叩き。
たけさんが、四方八方に散ったみんなに説明をする声。
自然農の田んぼは、機械音が一切せず、人がなにかと対峙して直接発する音ばかり。

ひとしきり泥んこになりましたらば(ちがう、泥を盛り終わったら)、作業終了!


みんなで、近くの温泉で汗を流しました。裸のお付き合い。


そして今晩のお楽しみ、一品持ち寄りパーティー開催!!


季節のお料理、郷土の名品、いろいろなお酒が集まり…
たけさんと、奥様、シャロムスタッフさん、去年塾生だった先輩たち、塾生みんなで大宴会。
美味しいお料理の数々に舌鼓を打ちながら、酒を酌み交わす。


畑の話、お料理のレシピの話、身の上話。
話は尽きることなく、夜は更けゆく~。
明日早いけど大丈夫かな??
では、2日目のレポーター村田さんにバトンタッチです~。

最後に、塾で過ごす2日間は、発見・驚き・気づきに満ちたそれはそれは濃い2日間。
今は、ただただ、畑や田んぼに立てることが、嬉しくて、面白くて、幸せで。
毎日が新しさの連続で、小学生のときって、こんなふうに長い1日を過ごしていたなーと、そんな時間をくださる皆様に感謝しています。

2011.5.14
坂井清香