2011/07/18

あずみの自然農塾7月・3日目

--- 朝 ---

早朝5時、ヒグラシの声で目を覚ます。
2泊3日の自然農塾も今日が最終日。
せっかくだから、自然農法センターの見学会に行く前に、畑仕事の続きをしよう!
いそいそと、準備をして一番乗りだと思って畑へ繰り出したらば…
もうすでに、先客が。
 みんな、早起き~。

ところで、早朝の畑仕事は、ブヨにご用心。
草むらから容赦なく攻撃を仕掛けてくるアイツ。
パンパンに腫れ、痛がゆいことこの上なし。
私を含め、3人ほどの被害者が。

--- 竹さんの田んぼと畑見学会 ---

まずは、竹さんの田んぼへ。
もともと、諏訪大社の分社があったという霊験あらたかな場所。
その名残で、田んぼのほとり(?)にご神木がある、なんともアリガタイ田んぼです。
そして、ご神木の根元には、日本ミツバチの巣箱。



日本ミツバチは、闘わない温和しい蜂なうえ、伝染病がない、とってもいい子たちなのだそう。
お野菜の殆どがミツバチにより受粉されているって、なんて働き者なのでしょう。
私たちは、その働き者さんたちの保存食を蜂蜜として戴いているそうです。
ありがとう。

で、その保存食って一体何かといったら、蜂さんたちの分泌液。
ん??一瞬、汗を想像してしてしまう。
どんな蜂から分泌されたかで、蜂蜜が変わるんだそうです。
西洋ミツバチから取れるのは、シャリシャリとした結晶ができる蜂蜜。日本ミツバチから取れるのは、バターのようなとろとろした蜂蜜。
なんだか、急に蜂蜜が不思議な食べ物に思えてきた…。

さて、話を田んぼに戻して。
竹さんの田んぼは、耕して、合鴨の力を少し借りた田んぼ。通常30羽ほど入れる広さのところに、10羽の合鴨ちゃん達がいました。
(フン=肥料が多すぎてしまうため、減らしているそうです。)
チャプチャプ水面を揺らしながら、田んぼに顔をつっこみ草を食べ続ける合鴨ちゃん達。
(合鴨ちゃんたちの泳いだ後は、水が濁っていて、これがまた草を抑えてくれるのだそうです)
なぁ~可愛すぎる~。
けれど、穂がでたら穂を食べてしまうからお役ご免。
野に放つと死んでしまう合鴨ちゃんたちは、お肉として戴く運命。
無駄なく、余すことなく、命に感謝して、ですね。
合鴨農法は、草の状態と、稲の成長、合鴨の成長で水を調整するのが大事なのだそう。
「稲は無農薬に適しているんです」とたけさん。
で、ポイントは虫と草をどうするかなのだそう。
「いくつかの虫を抑える手段と、除草手段を持っていて、その時にあった除草カードを切る事が大事!!」
うまいこと言ったと、どや顔で『除草カード』を二回繰り返すたけさん
すっかり、私の心に深く刻まれました。「適した除草カードを切る」

朝食のおにぎりを戴きながら、場所は畑に移りまして…

まず、目に飛び込んできたのは鶏舎。
ゴーヤとホップのグリーンカーテンで覆われた、贅沢な鶏舎です。
ホップってツルだったの?!と衝撃を受ける。

鶏舎の中には、普通の鶏と烏骨鶏がいました。
鶏ちゃんと烏骨鶏ちゃんは、お互いを侵すことなく仲良く共存しているそうです。

そして、自給用と採種用の畑、奥様のハーブガーデンが広がります。
畑は、三畝をスイッチしながら、連作障害を防いだり、年に一度耕して虫(タバコ蛾など)の発生を抑える工夫をしているそうです。
「刈る必要のないモノは刈らない」とたけさん。
小麦畑が広くなってきて、機械を使わないと追いつかないけれど、機械の仕事は粗い…という葛藤があるそうです。
先生も毎年毎年いろいろと考えたり悩んだりしながら、作物と向き合っているんだな~、
畑仕事に正解ってないんだな~そんなことを考えながら、畑を見せて戴いていたら…
奥様がせっせとハーブガーデンの手入れをされています。
仲良く畑仕事、羨ましすぎるゼイ!

--- 自然農法センター見学会 ---

いざ!自然農法センターへ。
自然農法の試験研究、教育研修などをされているところで、
その、試験場の見学です。

子孫を残す、強い種を取る畑が広がっています。
良い条件を作ると野菜は弱くなってしまうそうで…
通路は牧草とメヒシバに覆われて、グリーンな通路。
下部元は刈った草が朽ちて茶色ですが、土の茶色は見あたりません。

自然農法の道具は、4本の鎌。
「この鎌で、若い人なら5反分はいける」と、職員の中川原さん。
中川原さんが開発された、長鎌を実際使っているところも見せてくださいました。
「長鎌は順手で持ちます…こうやって…」

ひょいひょいと、草を刈り…気付けばあんな遠くに。
一畝10分と仰っていましたが、なるほど、いけちゃいそうです。
が!それは、達人だからでは…。
その昔、裁ちばさみで布が切れず苦戦する私に祖母が言った一言、
「バカとはさみは使いよう」が頭の中をループしました。(意味、ちょっと違うけど)
うまく使えるように訓練したいなーと妄想。

中川原さん曰く、
「草は虎刈りが良い。適当が良い。そうすると野菜が暴れない。あくまでも畑であって、公園ではない。」
うーん。深い。適当は、一番難しいと思います。長年の経験をもとに確立された、いい塩梅。いい加減。
つかめる日はいつだろう~。つかめるようになりたいな~。

西部警察に出てきそうな容姿の中川原さんが、とっても優しい笑顔になる。
「みみずのフンを見ましょう」
敷き草の下を見せてくださる。

コロコロの土が敷き詰められていました。これが世に言う団粒構造!
柔らかくて、肥沃な感じが、視覚的に感じられます。
良い塩梅に刈られた草を敷き草として敷き、その下がミミズの住処となり、ミミズが土を食べてフンをすることで、耕してくれる。
自然の恵。自然の不思議。敷き草の下は、宝箱を大事に開けるように見せてくださった意味がなんとなくわかる。

続いて、場所を室内に移して、スライドを用いての座学。
ここで、始めて耳にした印象的な二つの言葉。
「自律力」「共育ち」

「自律力」
自然生えした作物は、土を豊かにすること、子育てをすること、生育調整など畑で人間がおこなうようなことを自ら行う。
「この自律力を引き出すことが、もっとも注目していること」と中川原さん。
お話の中で、「人間中心の栽培には限界がある」という言葉がズッシリ響く。
キュウリの生育を人間のライフステージと照らし合わせての説明。
幼苗の幼年期→体を作る少年期→最も茂って花を咲かせて子孫を残す体制になる青年期(自立する)→実を充実させる子育て期
こうしていつかは自立する作物に見合った育て方をしなければならないという。
栽培する人間を里親として置き換えて考え、やっぱり作物の仕組みを無視した人間本意の育て方(コントロールフリーク)では、作物にとってはストレスなんだなと納得。

「共育ち」
自然生えした野菜は密生して苗の固まりのようになり、いろいろな自然条件下に適応しながら、互いに競争しながら成長する。そして、その中から特定の株だけが伸び出す。
1、2本では寂しい生育になってしまうそうです。
こちらも、人間社会のようです。
座学後、中川原さんお気に入りの自然生えミニトマトの花壇を見せて戴く。
ミニトマトは枝を広げ、周囲の草を抑え、力強く茂っています。
その横には、巨大なノラボウ菜が種を付け、次の代に備えてずっしりと体を横たえ、土を豊かにする準備をしているようです。
「作物は藪を目指す」中川原さんの言葉のまんまの世界を目の当たりにしたのでした。

--- オマケ ---
2泊3日の自然農塾が終了!
いつもいつも、もう一泊したい!!と言いながら帰路についていた願望が叶ったのでした。
大満足の濃い濃い3日間。
あー、もしかして、前世で家族だったんじゃないかしら、なんて思える仲間たちと、
喜びや悪戦苦闘を共有できる日々。
別れがたいったらありゃしない。
という訳で、寄り道できる塾生と、たけさん、2日間お世話になったシャロムスタッフさんたちと近くのたけさんオススメ食堂に行って昼食を食べてからの解散となりました。
それに飽きたらず、カーシェアの仲間たちと、「地球宿」でブルーベリー摘みをさせて頂いたり、野菜を買わせて頂いたり、あずみの自然農塾の先輩の畑を見せて頂いたりしながら、東京の生活へ戻ったのでした。お土産いっぱい。胸いっぱい。
半日でしたが、盛りだくさんの3日目。ちゃんとお伝えできたか心配です…。
2011.7.18 坂井