2012/06/17

安曇野自然農塾  6月2日目のレポート


安曇野自然農塾  6月2日目のレポート

1、昨日の続き:耕さない田んぼで田植え
6時30分ヒュッテ前集合。
耕さない田んぼで田植えの続きを行いました。
ハッピーヒルを昨日の要領(いくつか注意点がありました。各自復習してくださいね)でどんどんと植えていきました。2本植えです。
田んぼの形が四角形でないため植える幅がだんだん狭くなっていきます。
すなわち人余りになります。余った人で田んぼの土手(畦畔)の草刈をしました。
モグラの通り道などは踏み固めます。大きなイタドリなどを抜いた後は穴をしっかり埋めておきます。
刈った草は土手に置かずコンクリートや土手以外のところに捨てます。お隣や周囲の農家さんに迷惑をかけないためです。
苗のなくなった苗代にもハッピーヒルを田植えの要領で植えました。
さて田植えが終わり水を入れ始めます。ただその前に草を足でよく踏んでおきます。
水中で草が浮かないようにするためです。

2、耕した田んぼへ;草取りなど
耕した田んぼは耕さない田んぼと違い土はとろとろに軟らかです。田んぼへ入るためまず足元を見直します。普通の長靴は絶対にだめ、なぜなら短いから田んぼの中へ埋まってしまい、抜けなくなるからです。当然植えた苗にも悪影響を及ぼします。だから田靴と呼ばれる専用の長靴か素足あるいは靴下のみ着用でもOKです。
そーっと田んぼを濁らさないように静かに足を踏み入れます。未経験の感触です。
そして田んぼの中を見ると稲の苗だけでなく細い草がかなり生えているのがわかります。
これがコナギです。手を入れて触ってみるとその感触がよくわかります。プチプチという感じで抜けていきます。このとき稲の苗を抜かないように気をつけます。
慣れてくると多少水が濁っても手の感触でコナギを探り当てることができるようになります。
おたまじゃくしや水生昆虫など多様な生き物がいる自然農(厳密には有機農)の田んぼはやはりいいなと思いました。合鴨の子供たちもかわいらしく草取りや虫取りに協力して
くれました。
害虫で気をつけなければならないのはイネミズゾウムシです。小さな昆虫ですが葉を食べ根に入り込みから稲が分結しなくなる恐れもあり要注意です。
さて耕した田んぼでの雑草取りもようやく終えて予定より30分遅れでヒュッテに帰りました。
ブランチはいつもより遅く11時からです。ペコペコのおなかにはさらに今日のメニューはさらにおいしく感じられました。
ブランチのあとは、くつろぐ人、ソフトクリームを食べに行く人など自由行動でしたが、12時30分には再集合し皆の畑へ行きました。

3、誘引などについて
皆の畑へ行く前にまずシャロムの畑を観察しました。畑では春の草であるハコベが衰退し夏の草が勢いを増しています。たとえばワルナスビは茎でも種でも増える繁殖力が強い植物で茄子科の連作障害を引き起こすことがあります。たぶんこれは牛の飼料に混ざって入ってきたと思われます。
エンドウは最初に実を採ります。小麦、ライ麦を順に見ていきます。ライ小麦と言う品種もあります。これは寒いところで白いパンを食べるために作られました。
ライ小麦の茎はストローになります。三鷹のジブリ美術館で使われているストローはこれと同じものを明日見学する自然農法研究所などから入手しているそうです。
ネギ、ズッキーニ、ハッピーヒルの陸稲などを観察しながら、トマト畑で芽かきと誘引のレクチャーです。ネギは抗生物質を出すので最初にネギを育てると病気が出にくい畑ができます。小麦には根を深く耕し畑の栄養を吸い上げて調整する力があったり、マメ科の植物には窒素を与える力があったり、それぞれの特徴を利用して畑の性質を変えることができるのも自然農だからです。

4、トマトの芽かき
親ヅルの途中45度に出るワキ芽は、特に大玉トマトでは切らないと実が大きくならないかできなくなってしまいます。中玉で1本か2本、ミニで2~3本でよいでしょう。
枝を増やすと根も伸びるので葉を1~2枚残して切る。大きなワキ芽をいきなり根元から切るとダメージが大きい。自然農では最初の花の下のわき芽は残し、それ以外のわき芽は葉1枚残してきります。
バジルでは葉を1枚1枚取るのはだめ、頭全体を採るようにします。わき芽は残し伸ばすようにします。

5、誘引
誘引は植物を拘束することではありません。まず支柱がちゃんと立っているかチェックします。ズボンと一緒できつくてもゆるくてもだめです。ひっかかる場所を探しひもを2回ひねってから支柱に一回転させてからしっかりと縛りつけます。このとき枝にはゆるめになるようにします。縛ったと支柱側の紐をちょっとあげてテンションをかけるとゆれにくくなります。誘って引き上げるすなわち誘引です。
茄子は花が咲いたらワキ芽を取ります。毎回出るたびに取ります。そして実がなったら最初の実は親指大になる頃にとります。そうしないと茄子は子孫を残すことができて満足してしまい実をそれ以上つけなくなります。そして根も樹も育ちません。梅雨あけまでは市販の茄子より小さい状態でとると根も樹も充実して育ち秋まで楽しめます。
というようなレクチャーを実物を目の前にしながらしていただきました。
そしてその後皆の畑でそれぞれが質疑応答やらアドバイスを受けました。
最後にきゅうりネットの張り方もレクチャーしてもらいました。きゅうりネットは葉を充分に茂らせることが出来るので、きゅうりの収穫量を確実に20%増加させる頼もしい道具ですが、こんがらがらないように張るのはちょっと技術がいりました。

6、反省会
3時30分から反省会です。いろいろな意見が出ましたがやはり田植えひとつとっても大変手間がかかるものだという意見が多かったようです、その分収穫が楽しみで、農に対する深みもよりいっそう深くなるような気がします。

                          三宅省吾記