2013/07/20

あずみの自然農塾 7月・1日目

2013,7,20(土) 晴れ 北アルプスもきれいに見える


まず、松本駅に集合し、松本市波田にある自然農法国際研究開発センターへ移動。
普段は非公開の畑も見学し、説明」を聞きました。

自然農法センタ-では水稲と畑作で各分野のチ-ムに分かれて研究しているそうです。


20年使用している畑


まずは育種課の原田さんが中心に研究している圃場へ。

当初はたい肥やボカシ肥(米ぬかを発酵させたもの)を投入し、
通路に緑肥をまいて草マルチを重ね畑の中で有機物を循環させて育土していった。






「自然農の種子を育てより良い品種を開発するため目標としていることは?」

1.「根張りの良い種」
とは。。。肥料、農薬を使わず緑肥や雑草との競合の中でも育つ露地栽培での自然農法、
有機農業に向く品種。
生育旺盛、病害虫や乾燥に強く食味と日持ちに優れたもの。

1.「自家採取しやすい種」
 自家採取を繰り返すことでその土地の性質や生態系、また自分の栽培のクセに合った
品種を育成できる。
 種は共有の財産!自家採取の技術も広めていきたい。


現在品種改良中の野菜たちをいくつか紹介していただきました。
ex)
・とげなし千両2号・・・関東で作ると色ボケするため改良中
・ブラジルミニ・・・整枝すると実がつかない。甘みが少ない
・妙高(大玉)・・・桃太郎に似た味。養分が多いと実がつかない
・万願寺甘唐・・・黒アザ(アントシアニン)が発生しやすい
・りんもん病に耐性のあるトマトづくり(ハウスでは問題ないが露地にて上まで枯れあがる)


「交配において」
・強いもの同士がいいとは限らずそれぞれの品種の組み合わせの相性をみながら交配していく
・親種も自然農で育てる
・交配種はばらつきが多く出るが素材を作るうえで利点がある。
 そのかわり、たくさん作らなければならないし、時間がかかる。
・F1の種も素材として使用する。例えばマイロック(サカタのF1トマト)は耐病性があり、草勢が良い
 などの利点を素材として利用する。
 F1でも何年もかけて選抜していけば、だんだん同じような形質に固定される。

「それぞれの野菜がどう育つかを見るための観察もする」
・ナス、ピ-マンは無整枝→品種ごとでどれだけ芽がでるか確認のため。
・元肥、追肥はしない
・トマトの芽かきは本来は根元でかきとるが、そうすると根の量が減る。そのため一葉残して
摘むと、そこからまた芽吹き根が張る。また芽をかく。の繰り返しで木が強くなる。
・追肥をする前に摘果や芽かきで回復させる。
・野菜を育てることで土が肥えすぎてしまってきたら麦を蒔いて栄養を吸ってもらう。


トマトの交配の様子(自家受精)
①開花2、3日前の花を探し、ピンセットで花びらを開き雌花を
 残してやく(雄花)だけとる
②電動歯ブラシを使って相手方の花粉を黒色のケースにとる
③①の雌しべの先端に②の花粉を軽くつける
④受粉済みという印をつけておく


←②の様子



キュウリの交配(他家受精)
①交雑しないように開花前日の夕方に雌花に袋掛けしておく
②雄花も前日に開花前の花を取っておき翌日花びらをとる
③朝6時頃に開花するので、9時頃までに②の雄花を袋を
 とって雌花にこすりつける
←④交配したものは花が開かないように閉じておく


気の遠くなるような繊細で地道な作業と研究、、、。




中川原さんの圃場

家庭菜園と研究場を兼ねている畑
15年使用しているが、土がやせ石が多い土地だったところに牧草を
蒔いて育土していった。
牧草があると雑草が入り込む余地がないので裸地にはしない。
牧草を刈って敷いていく。

畑は全体的にうすいグリ-ン。
木も実も小さく収量も少ないようだけれど、なるべく自然のしくみを
じゃませずに、その日その日を生きていく分だけ。と。



「よく観察すること!野菜は1日で変わる」

・植物の生命力は根の中にある。条件を良くすると根が育たず、木が育つ。でも、あまり根に
集中すると木が育たない。このバランスが大事。
・根を強くして自力で草を抑える。
・根っこが一生懸命張っていると葉色が薄くて小さい。病気になりにくい
・変異は次の世代に現れる。条件が悪い時おこる。
・痩せ地ほどわき芽(側枝)がでる。


★根張りの良い苗を作るには

『日だまり育苗』 生育は緩慢だけど丈夫な苗に!   
詳しくはNHKテレビテキストやさいの時間 2013年3月号に載っています


まだ寒い早春でもハウスではなく日中日だまり(自然のぬくもり)の場所に苗を置き(地表面は20℃
くらい) 夜は室内へ移動する(10℃から15℃を保てる場所)


『ペット栽培』 自然の本来の姿!病気にも強い     やさいの時間4月号参照

茂みのように育ったミニトマト
全て自給したものでできる。放牧牛と同じように。野菜たちには
草を刈って敷いてやる。そこにミミズがフンをして土を作る。
この土で育苗する。


11月に実ごとポットに埋め込むと正月に芽がでてくる。日中は窓辺に、夜は寝室?へ。4月に鉢替えし定植。肥料分の残っていない痩せ地を選び元肥、追肥、わき芽かきなしで育てる。
3、4年で品種になる。


その他の野菜の直まき     
まさにワイルドで塾生もびっくり。これが本当の自然(農)なのかも

小さくいじけているのがナスだよと中川原さん。野菜が子育てのよう

トマトは1か所に20粒の種を蒔く。無肥料。間引きもしないで強いものを見極める。すると強いものが育ち他は日陰になって育たず、自然淘汰する。

ナスの直まきは実をいくつかに切り分けて、そのまま植える。

他にキュウリやかぼちゃは実ごと埋め込む。


★なるべく機械を使わずに   体をこわさないやり方、道具で!


中川原さんはたった4本のクワや鎌のみを使って全てをやります。
道具の1つ長鎌の使い方をレクチャ-

草を刈る用で特注品だそうです
・日中は草がやわらかいので朝、夕に刈ること
・腰をねじらず体幹を使って手のスナップで
・体の近くで持ってホウキで掃くような感じで

←体づくりにもなるとさっさと進んでいくのだけど塾生が挑戦しても
なかなかうまくおかず、、、。熟練の技がいるようです。



・牧草は刈らないと野菜の元気がなくなる
・野菜で土が肥えてきたら(葉色が濃くなってくる)牧草地と場所を入れ替える
 →原田さんの圃場では麦でマイナスにするやり方。同じ目的なのに考え方で違う。面白い。

最後に鎌の研ぎ方を教えてもらいました

・まず粗い面でめくれができるまで研ぐ。
 体重を乗せてななめに
・中くらいの面でなめらかにする
・仕上げで切れ味をよくする

※鎌は切れなくなる前に研ぐこと。作業効率が違う。





温泉の後、まだまだ明るいので自給農スク-ルや卒業生たちが使っている畑の見学。
採取も食べることも目的とした私たちが目指す畑を最後に竹さんに案内してもらいました。
写真撮れなくてすみません、、、。


・もともと栗の木の畑だった所でPH3.8と酸性が強いところに苦土石灰を入れPH5.8に。
 そこにたい肥や緑肥をすきこみ草を刈って敷き、野菜で土を育て、今の状態へ。

・この畑では様々な区画があり、小麦とソバの連作区、トマトとにんにくの連作区、
 年1回草マルチをすきこんで起こす区画など畑に行ける頻度や野菜によってやり方の工夫を
 していました。
 トマトには紙マルチを使用するなど
・大豆、枝豆えごまは大きくなるまでに2回にわけ土寄せする。上の土に酸素が入って根粒菌
 がつく。土寄せ後は草マルチする。


1日目終了。
自然農って深い、、、。頭の中がいっぱい。でもなんだか視野が広がりました。
とても勉強になりました。
                ありがとうございました。
                                           by Ami.Oh