2013/11/17

あずみの自然農塾 11月第2日目

1117日(日)晴れ

<自然農について>
作業の合間に自然農についての一般的な話があったのでここにまとめておく。

l  おさらい:自然農の基本
地上のものは地上に残し、地下のものは地下に残す。草は地上部を刈り、根は抜かないでおく。葉などの地上部は地下に入れると発酵したり腐ったりするので地上においておく。根は地下で分解してそのあとが根穴構造となって水や空気の通り道となり、自然にフカフカした優れた環境が生まれる。積み重なった亡き骸の層が増えていくことによって耕さず、何もしなくても地面深くまで空気が入り、豊かな生態系が生まれる。生き物がいても、それによる作物への被害があまり起こらない環境となる。土地と作物にあった畑作りをすることが必要。

l  川口さんの自然農参考文献
Ø  雑誌「田舎暮らし」川口さんの連載記事が掲載されている。
Ø  『誰でも簡単にできる! 川口由一の自然農教室』新井由己、鏡山悦子共著、宝島社刊
Ø  『自然農・栽培の手引き』鏡山悦子著、南方新社刊

l  野良仕事と農作業
Ø   野良仕事とは野を良くする仕事。そこにある営みを生かすのか、それとも壊してしまうのか。今年だけでなく何年も先のことも考えることが必要。干ばつやその他の天候、環境による変化なども考慮して7年くらい先までを見据えて取り組む。

<苗代づくり>
 午前中に来年のための苗代づくりを行った。

l  稲刈り後の田んぼの苗代以外の場所には麦(今年は大麦・ライ麦)とクローバーをまいておく。
l  手順
1       苗代を作る区画を定める。
Ø  苗代は冷たい水が直接流れ込まないように、取水口から遠いところに作る。
Ø  苗代の場所は毎年移動させる。毎年同じ場所に作ると、土地が疲弊するので、全体の状態を均一化させる。
Ø  苗代の広さは田んぼの大きさによって決める。3合の種籾をまくのに1.2 m x 4m 程度は必要。植えるときは1か所に2本植えるので、苗代は少し広めに用意する。
2.      区画内の草をすべて刈る。

3.      薄く草のある表層をはがす。この時、生物の多い層をすべて剥いでしまわないように、あまり深くはがさないよう注意する。
Ø  畑では草剥ぎの後根切りをするが、苗代づくりでは来春までに根は分解するのであまり根切りの必要はない。
Ø  ちなみに、土を剥ぐときは後退しながら行い、根切りするときは前進しながら行う。

4.      苗代部分の地面の高低差をよく見て、クワで地面の高いところの土を剥ぎ、低いところに移し、全体が同じ高さになるようにならす。

5.      クワやスコップで苗代の周囲に溝を掘る。水が回る程度の深さが必要。ここの田んぼの場合は10㎝程度。土地の状態にあわせた対応をする。

6.      苗代の表面を平らにして鎮圧する。縁は崩れないように平らにしてから叩く。

7.      米ぬかをまく。草の状況を見て補い方を決める。痩せたところには大目にまき、出来上がりが均一になるようにする。

8.      今回はもみ殻燻炭をまく。寒冷地なので、地温が上がりやすくする効果があるのと同時に、ネズミなどの生き物が入りにくくなる。溝や周囲にもまいておく。生き物対策としては焼きたての燻炭のほうが効果は高い。生物は寒くなる前に居心地の良い場所を探してそこで動かなくなるので、寒くなりすぎる前にこうした対策をしておくと生物が苗代の場所を避けてくれる。
Ø  注:この辺のやり方は以前と少し変えている。場所に合ったやり方で竹さん流に少しアレンジしているとのこと。一番自分で自然にできるやり方で、しかもその土地にあったやり方ですることが大事。守破離の境地だそうだ。。。

9.      隙間ができないようにわらを敷く。苗代の中央に穂先を向けて、両端から向かい合うように置く。わらに米がついている場合は米を外して、苗代の外に出しておく。風向きを考え、この田んぼの場合は風の吹いてくる東側が厚くなるようにしておく。

10.    さらにわらの上から燻炭を薄く、広くまく。

11.  一番上に、はざ掛けに使った木を重しに置く。

12.    燻炭や米ぬかが残ったら、田んぼのなかで日陰になりやすい所、また痩せている所にまいておく。米ぬかは分解を促進し、窒素を増やすので、来年の実りに効果がある。

13.    わらが残ったら、雑草のキシュウ(キシュウスズメノヒエ)が多かったところにバラバラにまいておくとほかの生き物が育まれ、抑制効果がある。

14.    なお畑と異なり、水を張る水田では燻炭をまいてもPHへの影響はほとんどない。

<葉物野菜の収穫>
 野沢菜の収穫を行ったのに関連して葉物野菜の収穫時間についての説明があった。

l  葉物野菜は昼に収穫したほうがおいしい。昼間光合成で作った養分は夜の間に消費されていることと、朝はその日の日照・光合成に備えて水分を多く含んでいるので、朝取りの野菜は水っぽく、おいしくない。特にソテーにしたり、ゆでたりするには昼に収穫するのがベスト。(ちなみにこの辺りを調べたところ、葉物野菜中の硝酸塩は朝に多く夕方に少ないのだそうです。なので、その意味でも朝より昼に収穫したほうがよさそうです。)
l  野沢菜を収穫する場合、ひげや土の多くついた根の先の部分を土中で切って残し、カブの上部と葉を収穫すると効率的。

<大豆の収穫と脱穀>
 午後からはダイズの刈入れと脱穀を行った。

1.      大豆の品種について
     津久井在来-在来種大豆で土地がやせていても、何もせずとも育つ品種。甘く、味噌豆としておいしい。ヘソが白いのが特徴。今回収穫したのはこの津久井在来種だった。
     現在多く栽培されているのはコンバインで刈るために背を低くし、植え付けの密度を上げて効率的で、収量が高くなるようにした改良品種。現代の農法に適しているが味はX

2.      刈取り
     大豆は、朝は朝露で水分を含んでいるが、昼暖かくなるとはじけて実が落ちる。
     葉が枯れて落ち、茶色くなって振ってみてカラカラと音がするようになったら刈り取る。刈取りは午前中に行うとよい。
     青っぽいものはもう少し枯らす。乾燥状態にムラがあるときは刈ったダイズを縛って、ゴザを敷いた上に立てておき十分乾燥させる。

3.      脱穀
     脱穀は晴れた日に行う。実を外したあとのダイズのカラはたきつけに便利。(土地によってはセシウムの検査をしてから使う方がよい)
     収穫量が少ない時は手作業で脱穀できる。中程度の量なら大きな容器の中で叩きつけたり、地面の上で踏んでもよい。量が多ければ足踏み式の脱穀機が便利。

     足踏み脱穀‐中の実だけを飛ばすには、回転数を上げて鞘を飛ばさずに表面をたたき、実がはじけるように調節する。

     落ちた豆と鞘はまず粗めのザルでふるい、大きな鞘やカスを取り除いたあと、より細かい目のザルでもう一度ふるう。

     唐箕にかける。大豆は重いので、麦の脱穀の時より強めの風を送って鞘などを飛ばす。上部の開け口は、右手で取手を回転させて送風を始めてから開き、閉めるときは必ず開け口を閉めてから送風を止める。これを誤るとカスが実と一緒に落ちてしまうので重要。忘れずに!

     さらに豆を箕の上で転がしながら割れ豆や残ったゴミなどを除いていく。
     小粒なもの、割れ豆や、食用に良くない豆は畑や田に返すと田畑が豊かになる。
     一番いい豆は種用に残しておく。
     収穫した食用のマメは米袋などに入れて保管。

<米の脱穀>
 刈り取って乾かしてあった米を脱穀した。脱穀のやり方は基本、小麦の時と同じ。

1.      足踏み脱穀機で実を飛ばす。わらの束は扇状に広げて穂先を下に向け、最初は軽く先だけ、実が落ちてきたらだんだん深くかけていく。ひとりでやるのは結構難しいので、足踏みは別の人が交代で担当。


2.      集めたわらの混じったモミをふるいにかけて、大きなわらを除く。


3.      モミと小さなワラ片やごみを唐箕にかけ、ごみを飛ばす。

4.      できたモミを米袋に入れて作業完了。

<土壌分析>
 これから土地を借りて畑を始めるための準備として土壌分析について話があった。

l  休耕地などで田畑を始める場合、新しい場所を借りるときは土壌分析を行うとよい。土地の5か所から地表から10㎝下の土を取ってきてブレンドし、土壌分析に出す。JAなどで行ってくれる。価格、必要な時間などは様々なので、問い合わせるほうがいい。

l  酸性が強くもみ殻燻炭を入れる場合、最大で1㎡あたり5ℓまでにする。