2013/09/15

あずみの自然農塾 9月第2日目

9月15日(日) 雨時々曇り

~主なレポート内容~

☆田んぼの見学会
☆種のお話し
☆花粉・受粉のお話し
☆夏野菜の種採り(かぼちゃ・トマト・キュウリ)





★1つ目 塾生の田んぼ★
   (耕さない田んぼ)

皆さんで植えたお米が分蘖
(ぶんけつ)して
(一本の苗が分れていく)
こうべの垂れているもの
穂がこけ始めているものに
育っていました。

水を入れっぱなしで温度が低く
成長が遅れている穂もありました。

普通のお米では、1つの穂に
100~150粒

コシヒカリは、100粒前後

ハッピーヒルは200~300粒で
他より2~3倍
花を咲かせていて茎が硬く
少しがまんのような状態でした。

塾の田んぼは、道路側手前から
早稲(わせ)中稲(なかて)
晩稲(おくて)となり、周りの田んぼ
は、極早稲(ごくわせ)の形です。

コシヒカリの場合寒い地域は、
ちょうどよい時期で暖かい地域
では、積算温度が1000度を
越え暑い年程、穂が早く出て
きます。
(例えば毎日30度の気温では、約33日)

自然農では植えも遅く、とるのもなるべく遅く、期間内に成長してほしい所、
短くなってしまうとその分、根っ子が張れなかったり収穫量が減ったりするので
中稲か中晩稲と言い、少し遅くなる方が自然農向きです。

自然農は、早稲 中稲 晩稲の形になると手で順々に刈り、順々に脱穀していけばよく
あまり遅いと実にならなかったり早いと収穫が減るので、初めの田んぼなら2~3種類が
おすすめです。その中でメインの品種を選ぶと良い。

雨が少ない、多い年は分散したり平均的にとれたりもするので、実際にしながら気候に
合ったものをしていきます。

上手にとるのも大事ですが命を繋ぐ事が大切です。

花が咲いている時期は、田んぼがカラカラにならぬよう気をつけます。

自然農の田んぼは、耕していないので水浸しの状態ではなく、湿っていれば良い。

その代わり、すごく根っ子が張っていて草などザル状態になっているので
掘ったら水が出る、踏んだ所に水が溜まり出てくるような状態が良い。

あまり水を張り過ぎると根腐りするので注意します。

この時の稲は健康ですが赤い痘痕(あばた)がちょんちょん出てきたら、
いもち病の可能性が非常に高く、いもち病を自分の地域の農村でしてしまうと
無農薬でさせてもらえない危険性が出てきます。

自然農は、間隔も空いていて肥料も少ないので出にくいですが
遅くなった時に病気が出る場合があります。

カビの一種なので肥料を入れたり湿度が高いと出やすく、、秋の湿った刈り時に特有の病気が
出てしまう時があるので、地域に迷惑をかけぬよう人間関係を作っておく事が大切です。




★2つ目の田んぼ★
  (耕した田んぼ)

こちらは、コシヒカリとイセヒカリの
田んぼです。

コシヒカリは、そろそろ収穫の
時期ですがイセヒカリはもう少し後です。

特に耕した田んぼ、ぬかるんで
いる場合は周りの水を掘ったり
排水溝を作ってあげると良い。
(台風の時、気をつける)

イセヒカリはコシヒカリが突然変異して
できた品種です。



★3つ目の田んぼ★
  (耕した田んぼ)

塾の田んぼは、3アール
こちらはその3倍位の10アール
(300坪)

コシヒカリが主で少しイセヒカリ
が育っています。

無農薬で育てる場合、除草剤は
使えないので草取りが問題に
なってきます。

自然農は耕さないので
草の生え方、生える種類が違い
対処の仕方も違うので、耕す田んぼと耕さない田んぼを並列でみないようにします。

同じ山でも 松の山、落葉樹の山、広葉樹のある山のように違いがあり
そこを上手に捉えていけば稲は、田んぼでも畑でも育ちます。




★種のお話し★(F1種、固定種・受粉)

種をとる事に関し、F1にしろ固定種と言われるものはどちらでも、
種がとれなくなるというものは日本にはなく、アメリカではターミネーター種子など
農薬などあるものを使わなければ、次の発芽が出なかったり種が採れない。

日本で種が採れないものは、不稔種子(ふねん)と言われるもので特殊なとり方をして
次の代で種、花が咲かないという技術がある

F1種というのは、掛け合わせの一代交配種

AとBからできた種がCとなり、そのCからとった種同士を掛け合わせとれた種は
必ず両親(AとB)と違う種となるのがF1種の特徴。

Aの野菜は、非常に病気に強いがあまり美味しくない
Bの野菜は、とても美味しくきれいでも病気に弱い

AとBの掛け合わせは、この代では遺伝的に一番良い所を出す特性がありとても強いが
その次の代からまともな種ができないのも現実で、F1種から始めるといつまで経っても
固定しない系統が多い

それに対し固定種からとった種は、それぞれの顔が違い、固定種=全く同じものではなく
同じ系統でも違いが出てくる

F1種の場合は、掛け合わせても皆同じような顔をしている

F1と固定種の違いは種を蒔くと一瞬でバーッと出てくるのがF1種、
固定種はバラバラと出てくる

F1は、出荷向き (皆同じ形でできる)
固定種は、グラム売り (バラバラ出てくるので自給向き)

F1種から新しい形質ができ、その次の代のF2種(F1種から採取した種)は、
F1と異なる性質のものができ、そこに合ったものが残る

一度、優秀なものを作っておきバラけさせれば新天地に移動できやすい

固定種の弱い所は、例えば丹波黒豆を丹波地域以外ですると、
中々うまく育たないが似たような気候の地域であれば、
丹波用にカスタマイズされていくので上手にいきやすい

F1、固定もどちらが良い悪いではなく、どちらが向く向かないがあり
それを活かしていくとよい


★受粉のお話し★

他家受粉と自家受粉があり、自家は自分の家に受粉、花粉が付くという事

今回の種採り講義で使うトマトは、90%自家受粉で種を採れば
ほぼ同じトマトが採れる

ピーマンは自家受粉が50%で、例えば隣に辛い唐辛子などあると次の年
ピーマン種を採った時に辛いピーマンができる

辛い方が遺伝的に優勢になり、虫にくわれにくい

100%自分の花粉が付くのはマメ科
エダマメ、インゲン、大豆などマメ科から種を採取するのが一番優しい

その次がトマト、ナス
ナスは80%自家受粉で近くに虫がいない限り、自分の花粉が
自分に付くようになっている

ところが菜の花や皆同じような花が咲いたり、カボチャやキュウリのように
虫が花粉を運んでくれたりするものは、他家受粉で他人の家の花粉が付く

自分の花粉ばかり付いていると弱くなっていく特性がある

カボチャの場合、色んな可能性を模索する為に花粉が付く

固定種のカボチャを囲って、もしくは人口受粉していた場合、周りで他のカボチャをしていると
その花粉が付き、違うものができてくる可能性がある

一番楽なのは、固定種で自家受粉のものから始めると良い。

種を採る時は、遺伝的な事を知りまず種を採る
同じ種類の野菜を採る事から始めると良い

その次のカボチャでも同じ種類のカボチャだけを作り、他の種類のカボチャの花粉が
来れないようにしたり人口受粉の形で交ざらないようにしてあげる

特に菜種とトウモロコシは、遺伝子組み換えの作物が入ってきている

トウモロコシは、自身で種を採り蒔いてしまうので、一個でも遺伝子組み換えがあれば
自分の所で蒔き散らしてしまう

するとGM・遺伝子組み換え作物の汚染が拡大するので下手に自家採取すると
菜種、トウモロコシ類は在来種(元々その地域に土着していた生物種)を
変形させてしまう恐れがあるので、トウモロコシなど他家受粉するものは、
極めて気をつけて採取する

それをなるべく避けるには、GMフリーの種を購入し隔離し他の花粉を付けないように、
自身の花粉を付け種を採取する必要がある



★夏野菜の種採り★(カボチャ・トマト・キュウリ)

野菜には、完熟野菜と未熟野菜があり、トマト・カボチャは完熟したものを食べ、
キュウリ・ズッキーニ・ナスなどは未熟なものを皆さん食べている

ピーマンの種は、入っているが蒔いても作物ができない状態のものを食べている

トマトの場合、花が咲き一週間もあれば十分青いトマトになる
そこから赤くなるのに更に一カ月必要でトータルで40~50日かかっていて
これからの季節、日が短くなると60日位かかってくる
50~60日経って食べるので種が準備できている

キュウリなどは、一週間~10日位でなるが種は入っていても中身の命はまだ
入っていなく、更に一カ月経ち種が水に沈むようになれば命が入っている状態。

ナスもぼけナス~大ぼけナスに更に置いておき、黄色や赤色に変わり初めて種を付ける

完熟しているスイカ・トマト・カボチャなどの種は比較的身近に感じるが
キュウリ・ズッキーニなどは、長めに霜が来るまで50~60日位
樹に付けっぱなしにしておくと良い



★カボチャの種採り★




今回のカボチャはすでに
種とわたを袋に入れてある
所からスタートです。

※カボチャは発酵させず
   洗っていきます。

種とわたを揉み分ける

滑りやすいので袋から
揉んだ方がやりやすい









きれいな水を張ったボウルに
袋から移し更に手で揉みあらう








◆普通の種は、沈む種を使いますが
   カボチャだけ唯一例外で沈みません。 
  浮力が働くので浮くようになっているカボチャだけは、浮いた種が正解で使う種。

   浮いた種でも風で飛ぶような軽い種、手で触り中がベチャッと折れるものは
   命が入っていないので使わない(カボチャ以外は沈んだものを使う)






よく洗いながら
種とわたを分ける

わたは、ニワトリにあげても良い

使う種は、よく果肉を落とす
ついたままだとカビが生える








種を一度ザルに移し
玉ねぎネットのようなものに
入れきれいな水を張った
ボウルの中で優しく
よくこすり洗う

きれいな水の中に
ネットから出し洗い、
またネットでこすり洗い・・・

を繰り返し濁りが
なくなるまで洗う









水が透明になったら
ネットに入れ腕を回し
下ろした時にかなり強めに
水を切る
(ラーメン湯切りイメージ)







★トマトの種採り★

今回は、サンマルツァーノというトマトを使います。

トマトは、完熟科更に5日間置いてあるものを使います。
追熟と言い、トマトもキュウリも樹に付いている時は完熟していなく、
ポテッと落ちて腐る直前が一番、種が充実するのでそこから種を採ります


濡れていなければ瓶や
容器でも良い
今回はビニール袋を使用

ヘタのある方の先を落とし
縦半分に切ります。

スプーンなどで優しく
かき出す

ゼリー状のものが
種の周りにまとわり
ついているが
それごと袋へ入れる

※ゼリー状の間は、発芽しない




袋や密閉できる中で、

この時期なら2日

もう少し秋になってきたら3日

今よりは少し早ければ1日

置き、発酵させると、ゼリーが
溶けてなくなります。

※袋や容器には、日付や品種
   など書いておく


◆発酵させ、ゼリーがなくなったら発芽してしまうのですぐ洗いますが
   例えば今日袋に種を入れ、明日ゼリーがなくなり、明後日洗おうと思っていてこの日
   出掛けなくては、ならなくなった時は冷蔵庫に入れておくと遅らせる事ができる







触っているのが2日経ち
常温発酵させたもの



こちらを洗っていきます







袋からボウルに入れる

水を加えると生きた種が沈み
この種を使います。

※この余った水分は後で
   プランターに
   与えてあげてもよい

この種やミニトマトの種は小さく
玉ねぎネットでは落ちてしまう
ので目の細かい寒冷紗、網戸、
茶こしなどを使い洗う





ヌメリをとる事が大事ですが
ゴシゴシすると皮が取れるので
お米をとぐような気持で



メッシュから種を出しボウル水へ
を繰り返しきれいになってから
水をしっかり切りだしパックの
ようなものに入れ吊るし干します。






◆しっかり発酵させると種の色がはこのままですが発酵が下手になったり、
 洗いが足りないと真黒になり発芽率が落ちるので注意します。

 何種類かの種を採りたい場合交ざってしまう事が多いので日を分けたり、
 落ちた種は 拾わないなど気をつけます。

  ワンポイント!~種を採って追熟したトマトは濃厚になり、トマトソースにピッタリ!
  ソースの中に少々梅干しを入れておくと美味しくなります



★キュウリの種採り★





上をスポンと切る
ここはベチャッとして種が
入っていない為

縦に切りますがこの時、
グサッと一気に刃を入れると
種を切ってしまうので
気をつけながら切り割る

◆この時点での注意は、
   身や種の痛んでいる個所は
   褐斑病(かっぱんびょう)と
   というのがあり、種子感染する
   時があるので取り除く




濡れていないボウルへ
手指で種をかき出し移す

◆酵素が強いので手が白く
   きれいになります
   (100本位した場合)
  と言って顔にパックしたり
   すると逆に日焼けしるので
   注意です。

キュウリも割とゼリー状です。


水気をしっかり取った袋や容器に入れ、1日発酵させる為置いておきます。
ボウルや容器で発酵させる場合、上にラップやステンレス(鉄は錆びるので×)でも良い

袋の場合は、膨らんで爆発する事があるので、少し大きさに余裕を持たせた袋に入れて
口を結んでおきます。(日付・名前を入れる)

キュウリの場合、天候に関係なく常温で1日~2日で、3日以上は発酵させないようにします。




右の袋が先程の種 

左が1日置いて発酵させたもの

発酵済みは1~2日経つと
ゼリーが溶け分離し
種が浮いています。

こちらを洗っていきます。





種をボウルに入れ水を加え洗い
ネットに入れ水の中でこすり洗い
を交互に繰り返しヌメリを
落としていきます

ゼリーが溶けていないとヌメリが
取れないので注意です。

沈んだものと浮いたものが
ハッキリしてきます






キュウリは、沈んだ種を使います。



◆この講義ではしませんでしたが
   スイカ・メロンの糖度を
   含むものはカビやすい為、
   ぬるま湯で洗うと良い








ヌメリを取り、洗い終わったら
ネットに入れカボチャ種同様
しっかり水を切ります。

タオルで水気を更に取ってあげ
晴れた午前中だとカラッと干せる






干すネットにはタグににじまぬよう
鉛筆で日付、○○の種等書いて
付けておくと良い

種を採って24時間以内に
風通しの良い所
陽があたる所で

24時間位は洗濯物が乾く勢いで
乾かします。

乾いたら、ずーっと天日干しに
しておくと種の命がなくなったり
焼けてしまうので直射日光の
当たらない、風通しの良い所に
2週間~1カ月干しておき
天気の良い晴れた一番湿度が
低そうな時に取り込みます。

種を採る時は、最初どんな種でも良いが2~3年してきた場合病気が出ていない株、
育ちが良かった株、美味しかった株から種を採取していくと、その畑で良く育ちやすい。

逆にたまたま付いたもの、虫にやられたもの、病気が出たものからの種は、そのような
系質を残してしまいます。

種採りは、以上です。

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この後は、湧水延命水の予定でしたが天候を考慮し、川口由一さんのDVD視聴会に
変更となりました。

テーマは ~自然農という幸せ~ 

思慮深い内容で皆さん想い想いに心地良く視聴されているようでした。

そして、感想会となり本日9月15日(日)の自然農塾は無事終了し解散となりました。

竹さん、ぐっさん、皆様、お疲れ様でした。
どうもありがとうございました。

                                    TMでした