・ 今年は雨が少なく土が乾き、根が十分に張れていなかったため、安曇野地区にとって
ありがたい恵みの雨となる・・・土は潤い、野菜・草木は根を育む。
・ 本日は福岡正信氏の命日、敬意を込めて『粘土団子』を作り 自然農の原点にふれる。
≪本日の学び≫
① 秋野菜と種蒔きの説明
② かぼちゃの種採り
③ 粘土団子作り
④ おやき・手打ちほうとう 作り
1、秋野菜と種蒔きの説明
春との違いは、虫が減り何でもよく育つ時期であること。
また、上手く育てば種採りが出来る。
≪ポイント≫
なるべく遅く蒔く・・・8月20日~9月15日の間、なるべく後半が良い。
なぜなら、この時期は虫(特にコオロギ)に種を食べられやすい。
暑さが感じられる時は、虫に食べられる事を見込んで多めに蒔く。
『 秋の一日は春の七日 』・・・ゆっくりと暖かくなる春と違い、秋は急に寒くなるため
一日で一週間の違いが出るということ。
(9月15日に蒔いて芽が出ても、16日に蒔くと芽がでない事もある)
≪種の紹介≫
白菜 ・・・ チンゲン菜・タアサイ ⇒ 非結球白菜 育てやすい
花芯白菜・竹の子白菜 ⇒ 半結球白菜 ↓
愛知白菜 (60日型) ⇒ 結球白菜 育てにくい
春菊 ・・・ 大葉春菊 (関西) ⇒ 一度に収穫する
中葉春菊 (関東) ⇒ 長く収穫できる
小松菜 ・・・ 新戒青菜 (竹内さん自家採取)
ほうれん草 ・・・ 豊葉ほうれん草 (日本ほうれん草)⇒ 根が赤く甘い
寒さに強い品種
からし菜 ・・・ 赤リアスからし菜
わさび菜
水菜 ・・・ 早生千筋京水菜
サラダ京水菜
ルッコラ ・・・ ロケットサラダ
大根 ・・・ 紅芯大根 (中まで赤い) ⇒ 中国系大根・辛くなくサラダ向き
支那青大根 (中まで青い)
牧地大根 (小型で固い) ⇒ とても辛い・たくあん漬け用
すりおろし固く絞って蕎麦の薬味に
打木源助大根 (加賀野菜) ⇒ 柔らかく 『おでん』など煮ると美味
大丸聖護院大根(丈短く丸い)
かぶ ・・・ 木曽紫かぶ ⇒ 固い・漬物や酢の物用
みやま早生 (小かぶ)
聖護院かぶ (大かぶ) ⇒ 千枚漬け
2、かぼちゃの種採り
本日使用品種・・・打木赤皮甘栗かぼちゃ (加賀野菜のひとつ)
付け根がコルク状で完熟したものを、収穫後2週間置いたもの
≪参考≫
一般に、かぼちゃは冬至まで待ったほうが良い。
(例)その間に3回ほど種採りをしておき、
食べ比べて美味しいと思われるものの種を選んで保管する方法あり。
(1~2日なら種の冷蔵可・ジップロックなどで保管しながら選ぶのもよし)
① 中心を外して種が当たらない所でカットする
② 種をかきだす(ワタはなるべく残す)
③ ボールのなかで②を揉み、種に付いたワタを外しやすくする
④ 水を加え、揉み続けながらワタを取り除く ( このワタを鶏の餌にすると黄身が濃くなる )
⑤ ④を玉ねぎネットに入れて水を切り、ネットの口元を縛る
⑥ 大きめのボールの中に水を入れ、⑤をゴシゴシと揉み洗いする
⑦ 水を替えながら揉み洗いを続ける
⑧ ネットから種を取り出し軽く洗い水選する
≪注意≫
かぼちゃの種は平らで浮力がかかるため、
他の種とは異なり 浮いたもの を優先的に選別する。
( ペチャンコ 軽いもの へこんでるもの 真っ白な種は取り除く )
⑨ 残す種を再度ネットに入れてワタが残らないよう、きれいに洗う
⑩ 水を入れたボールの中で 再度水選の確認をする
⑪ ザルにあげ脱水する (ネットにいれ、タオルの上に載せてくるくると巻いて水気をとる等)
⑫ 天気の良い日に一日干し、その後2週間ほど風に通して乾燥させる
⑬ 湿度変化のない状態で保管する
( 海苔の缶などにシリカゲルを入れておけば3~5年保管可能 )
≪注意≫
かぼちゃ・スイカ など糖分の多いものは、種にオブラート状の白い膜が張る。
この膜 はヌルヌル成分のひとつでもあり、発芽には良いが保存には不向きなので
きっちり洗い、しっかり保存する必要がある。
3、粘土団子作り
自然農の開祖、福岡正信 氏 ( 2008年8月16日 96歳にて永眠 )
本日は命日と重なり、自然農の原点でもある『粘土団子』を作るとともに
福岡氏への敬意を込めて、皆で想いを寄せる。
① 粘土パウダーを作る
≪素材≫
栄養の入っていない山の粘土、田んぼの土、焼物用の粘土パウダー等、
今回は壁土を使用する。
壁土を袋 (少し空気穴のあるもの・土のう袋があれば最良) に入れ、
木づちでたたきながらくだいていく
大きなたらいの中でふるい(今回は5㎜角位)にかけ、藁などを取り除く
出来上がったパウダーを、水分調節用も含めふたつのたらいに分けてお く
左:粘土団子用 右:水分調節用
② 種と水を加えて全体をまとめる ( 種:粘土=1:7 を目安に )
≪使用する種について≫
・ 多種多様の植物の種が良い
・ 古い種子、食べたフルーツの種子(洗って乾かしたもの)等
・ 豆の種は水分で膨らむので、浸水させてから使用する
・ 団子がくずれないように、あまり大きくない種が良い
種 (皆で持ち寄ったもの)を加えてよく混ぜ合わせ、
ジョーロで水を少しずつ入れてしっとりとさせる
再び水を加えしっかりと混ぜ合わせ
↓
水分調節用のパウダーを加えながらひとかたまりにする
③ 空気をしっかりと抜き、粘土を仕上げる
ぼそぼそしている状態からしっとりと固くなるまで、叩き・こねる
四角(立方体)になるよう、自然の重力を上手く使いながら 叩いて空気を抜く
↓
まわりに飛んだ粘土もすくい取りながら繰り返し続ける
中心にまで力が届く感覚を目安に、小さく締まり 艶がでれば出来上がり
④ 直径1.5㎝位の団子を作る
手のひらに載せ、右回りにくるくると廻しながら丸い団子を作る
≪ポイント≫
・ ひびを入れないこと (入ったら作りなおす)
・ 種が表面に出てこないよう力を抜いて丸める
・ 無心に無邪気に作るのもコツ
⑤ 芯まで乾燥させる ( コンクリートの上に叩きつけても崩れない固さに )
出来上がった団子を、新聞紙を敷いたトレイの上に載せて乾かす
↓
1~3日、風通しをして芯まで乾かす ( カンカンと音がするのが目安 )
≪注意≫
・ 風通しが悪いと芽が出てきてしまう
・ 日照りに当たるとヒビが入る
・ 半年以内に撒く、できれば1ヶ月以内が好ましい
4、おやき・ほうとう作り
小麦粉・・・先月、皆で収穫をした 『青葉小麦』 を製粉したもの
おやき用にはふすま(小麦の皮の部分)を10%加えて使用する
小麦粉は挽いてから3~4日置かないと美味しくならない
本来は収穫後、年明けに挽いた方が美味しいとのこと
≪ 生地作りの材料≫
おやき ・・・ ふすま10%込みの小麦粉2㎏ (3分の1は打ち粉用)
お湯 (焼いたときグルテンが香ばしさを出す)
天然塩
ほうとう ・・・ 小麦粉2㎏ (半分使用、残り半分のうち3分の1は打ち粉用)
水 (のどごしをよくする為)
天然塩
① 生地作り
使用する分量の粉をボールに入れ、塩を( 約大さじ1)加えて、菜箸で混ぜる
↓
水(おやきの場合はお湯)を円を描くように入れて混ぜる
↓
少しずつ水分を加えて混ぜながら、粉をまとめていく
(菜箸をボールの底につけ、外側と内側を混ぜながら天地返しをするように)
↓
手を使い、さらに水分調節をしながら混ぜる
② 生地をこねる
右の手のひらでグイグイと押しつけるように生地を折り込みながら
耳たぶの固さを目安にしっとりするまでこねる
↓
両手で力を加えて更にこねて丸める (周りの粉も集めてひとつにまとめる)
③ 生地を寝かす
生地が乾かないように濡れふきんで包み、
ボールの中で、1時間以上寝かせる (蓋をするとなお良い)
↓
今回は約4時間寝かせて使用
④ 生地の成形~仕上げまで
おやき ・・・ まとまった生地を半分に分け、それぞれを直径5㎝位の棒状に
のばし、約2㎝幅の輪切りにする
(打ち粉をして互いがくっつかないように気をつける)
切り口を上にして手のひらにのせ、上下から押して生地を伸ばす
↓
周囲は薄く、中央が高くなるように丸く広げる
手のひらに乗せた生地の上に好みの具を添えて、
周囲の生地を包み込むようにして閉じる
( 空気が入らないように注意する)
≪具の種類≫ 竹内さんの奥様手作りです!
・ 野沢菜
・ 竹内さん自家製味噌&1㎝角切りのナス
( その他トッピング用に とろけるチーズ を用意 )
打ち粉をしたトレイの上に、閉じ目を下にして置いてなじませる
(互いにくっつかないよう指一本位あけて並べる )
具を包んだ『おやき』の形をととのえ、
鉄板を熱して油をよくなじませたところに、閉じ目を下にして置く
( 打ち粉はよくはらっておく )
強火で8~10分、片面の表面が固まるまで焼く
↓
とろ火にして裏返し、両面が固まればその後は蒸し焼きにする
↓
今回は、20分位でこんがりいい感じに・・・
その後 25分位、時々裏返しながら芯まで火を通す
↓
食べやすく、中身の具が分かるよう4等分にして盛り付け
ほうとう ・・・ 生地を半分に分け、再度こねる
(残りの半分は乾かないよう濡れふきんに包んでおく )
↓
なめらかになったら直径5㎝位の棒状にのばし、
約1㎝幅の輪切りにする
指で破れないよう伸ばし、平らな30㎝位の麺状にする
打ち粉をしたトレイの上に並べる
残りの生地も同様にする
≪今回の材料≫
だし汁 (羅臼昆布+水)
しめじ (一本ずつほぐす)
エノキ (ざく切り)
・ かぼちゃ (一口大)
・ ナス (輪切り) ⇒ ・ 印は 菜種油でソテーしたもの
・ ズッキーニ (乱切り)
きゃべつ (ざく切り)
玉ねぎ (薄切り)
油揚げ (短冊切り)
いんげん (一口大)
竹内さん自家製味噌
八丁味噌
自然塩
≪作り方≫
だし汁 (羅臼昆布+水でとったもの) を火にかけて
しめじ・えのき を入れる
↓
下ごしらえをした材料をそれぞれ加えていく
↓
ぐらぐらと煮立ったら、鍋の中にほうとうを入れる
(打ち粉はよくはらっておく)
≪注意≫
ヒラヒラと入れて10秒位、さわらないこと!
ほうとうが固まったら、箸でかきまぜる
↓
具にしっかり 火が通ったら、味噌を加える
≪ポイント≫
・ 味噌を入れると火が通りにくくなるので、
具に火が通ったことを確認してから加える
・ 味付けは、味噌だけでは辛いため
塩も少し加えてバランスをとる
・ 煮詰まりやすいので少し薄味に仕上げる
~おわりに~
畑の恵みを皆さんと一緒に料理して味わう喜びは格別でした。
野良仕事から食事に至るまで、明快・丁寧にご指導くださる
竹内さんに心より感謝しています。
奥様には、今回も美味しい「おやきの具」をお作りいただき
ありがとうございました。
そして真理さんは、いつも細やかに私達をサポートしてくださる
とても心強い存在です。
グッさんとの再会も嬉しかったです。
共に学び合えるお仲間の皆さんとのご縁に ~唯々感謝~
ありがとうございます かっちゃん